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胆嚢炎

胆嚢炎

概要

胆嚢炎は胆嚢に生じた急性の炎症性疾患で多くは胆石によって生じます。他には胆嚢の血行障害、化学的な損傷、細菌、原虫、寄生虫などの感染、膠原病、アレルギー反応などによって起こることもあります。

発生率

胆石の保有者は人口あたり10%が保有していると言われます。無症状、軽症状の胆石を持っている方の症状が出る頻度は5-10年で40%、年率は1-3%と言われており、急性胆嚢炎は3.8-12%の割合で発症すると言われます。

原因・症状

発熱、右上腹部の腫瘤触知、圧痛、Murphy兆候(右季肋部を押さえながら呼吸すると痛みで呼吸が止まってしまう)が特徴です。

再発率

保存治療後、あるいは手術待機中の再発率は19-36%、経皮的胆道ドレナージ(お腹の外から針を刺して胆嚢の胆汁を取り出す方法)後に胆嚢摘出術をしていない場合の再発率は22-47%という報告があります。

診断

診断には、患者様の受診までの症状の経過や今までのご病気などについてうかがいます。それ以外では採血、画像では超音波検査、C T、M R I画像などを行い、診断をします。

治療

抗菌薬(細菌感染症の治療)や胆嚢ドレナージ、外科的加療(手術)を選択します。来院、診察時に患者様の全身状態、重症度を判断し、患者様にとって一番良いと思われる治療を選択します。
急性胆嚢炎では緊急手術となる可能性があります。近年では腹腔鏡下手術による腹腔鏡下胆嚢摘出術を行うことが多く、当院でも多く行われる治療方法の1つです。
お腹の状態、全身状態などを総合的に判断した上で開腹手術へ移行することもあります。

重症度

重症

急性胆嚢炎により臓器に障害を認め、呼吸、循環管理などに集中治療を要する病態です。集中治療をもとに緊急胆嚢摘出術や膿などを排出する緊急胆嚢ドレナージ加療を要する可能性が多いです。

中等症

臓器に障害を認めないが、その可能性があり、重篤な局所合併症を伴い、速やかに胆嚢摘出術や胆嚢ドレナージを必要とする状態です。

軽症

上記以外の急性胆嚢炎の状態です。

病理学的分類

症状の発症時期によって胆嚢の状態が変化します。

  1. 浮腫性胆嚢炎:発症後2-4日
    胆嚢の壁が浮腫むが壁の構造は保たれている状態
  2. 壊疽性胆嚢炎:発症後3-5日
    炎症、組織壊死が起こり、胆嚢の壁が壊死した状態
  3. 化膿性胆嚢炎:発症後7-10日
    壊死した組織に白血球が集まり化膿した状態、胆嚢周囲に膿瘍を形成した状態
  4. 慢性胆嚢炎
    胆嚢炎の軽微なものを繰り返すことで胆嚢が萎縮、繊維化が起こり固くなった状態

胆嚢炎の合併症

胆嚢穿孔:急性胆嚢炎、外傷、腫瘍などにより胆嚢が穿孔した状態です。
胆汁性腹膜炎:胆嚢炎による胆嚢穿孔、外傷、胆道ドレナージ中のカテーテル脱落、胆道系手術後の縫合不全など起こります。
胆嚢周囲炎:胆嚢壁の穿孔、その後に修復、膿瘍形成となった状態です。

特殊な胆嚢炎

無石胆嚢炎:胆嚢炎をほとんどが胆石症によるものですが、それ以外の病態で生じる胆嚢炎です。
気腫性胆嚢炎:ガス産生菌による胆嚢感染症、壁内にガス所見を認め、糖尿病に合併しやすく、壊死性胆嚢炎が悪化し、胆嚢に穴があきます。
胆嚢捻転症:胆嚢が突然捻れることで胆嚢炎を引き起こします。生まれつき胆嚢がお腹の中で固定されていない遊走胆嚢は起こる可能性が高いが、後天的には老人性亀背、るいそう、側湾などがあると起こる可能性が高いと言われます。

外科 紹介

鳥取市立病院の設立理念は、①信頼される病院 ②心温まる病院 ③楽しく働ける病院です。鳥取市立病院・外科も同じ理念で診療にあたっています。

1.信頼される外科

当科は岡山大学・消化器外科学教室の関連施設で、消化器外科、乳腺外科を中心に、最新の治療・手術を積極的に取り入れ、エビデンス(科学的根拠)に基づいた標準的医療を提供します。

2.心温まる外科

当科はつねにインフォームドコンセント(説明と同意)に基づいた医療を行います。ご紹介の診療所、病院と情報交換を密にして退院後も患者さんの療養・生活を見守ります。悪性疾患では手術だけではなく、抗がん剤治療、緩和ケアまで患者さんに寄り添い切れ目のない医療を提供します。

3.楽しく働ける外科

当科のスタッフは専門分野(胃、大腸、肝胆膵、乳腺)に細分化されていますが、お互いの専門性をリスペクトしながら、連携、協働し、一人一人の患者さんの診療を行います。チームの和を尊重し楽しく働くことが、質が高く、安心・安全なチーム医療を提供することにつながります。

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