当院は基幹病院ですので重症患者や紹介患者に注力するという方針のもとに診療を行っています。初診患者で重症と考えられる方に対しては、できるだけ早急に治療方針を決定します。再来患者の場合は、通院間隔を比較的長めに設定していますが、そのかわり来院された時には時間をかけて念入りな検査を行います。
緊急性のある患者さんについては基本的にお断りしませんが、初診の場合は必ず開業医からの紹介状を持参していただく必要があります。当院の外来は常に混雑傾向にありますので、スムーズな診療を行うためには紹介状による情報収集が非常に重要と考えています。当院での診察の結果、軽症であることが判明した場合は開業医への逆紹介を行っております。
限りある医療資源を重症患者に重点的に配分する必要性から、上記のような診療方針とならざるを得ないことをご理解頂きたいと思います。
現代の眼科学は専門分化が著しく全ての分野で最先端の医療を行うことは困難になっています。そこで当院は基幹病院として無視することのできない疾患(例えば網膜硝子体疾患、緑内障、白内障、斜視弱視、ぶどう膜炎など)に注力し、重要度や頻度の低いと思われる疾患(例えば屈折矯正手術、眼腫瘍など)は専門の医療機関に紹介するようにしております。
加齢黄斑変性に対する光線力学療法(PDT)、角膜移植術などは専用の装置を必要とするため残念ながら当院では行っておりません。これらの治療の必要な患者さんは、県内の他施設に紹介しています。
当院では文献や成書あるいは学会などから広く情報を収集し、根拠(エビデンス)としての価値の高い情報を採択し、現時点で最も合理的と思われる治療を行うよう心がけております。反対に以前からある治療においても根拠がないと思われるものは廃止するよう努めます。
当院では術前の患者さんに対して、細部まで詳しく説明を行うよう心がけております。
眼科手術を受けた大部分の患者さんは視力が向上し良好な経過をたどっていますが、繊細な感覚器である眼球を手術する以上、稀に重大な合併症が起こりかえって視力が低下してしまう可能性は十分考えられることです。特に当院においては眼底疾患の患者さんが多く、それなりに手術は難しくリスクも伴います。起こりうる手術合併症に関しての情報を十分に患者さんに理解していただいたうえで患者さん自身が手術療法を選択するという手続きがいわゆるインフォームドコンセントです。
医師による説明を十分に受けた上で、手術を受けるかどうかは患者さん自身に委ねられます。医師に気兼ねして不本意な治療を受ける必要は全くありません。術前の詳細な説明をした後に、手術を受けたくないとおっしゃる患者さんが当院でも実際におられます。