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ドクターインタビュー

相見 正史 / 内科・診療部部長

患者さんとの信頼関係を築き、
苦痛の少ない内視鏡検査を

食道がん、胃がん、大腸がんなどの消化管のがんは内視鏡で発見しやすく、早期発見であれば命が助かる可能性が高まります。消化器内視鏡領域のエキスパートでもある相見正史医師は、予防医療の重要性と内視鏡検査の正しい知識を伝えるため2年前に「やさしい内視鏡外来」を開設しました。患者さんの気持ちに共感し、不安や痛みに寄り添う医療を一貫して実践しているその原動力は何なのか、相見医師にお話を伺いました。

幼少時からの医師への憧れと当事者としての思い

私の両親は医師ではありませんが、15歳離れた従兄弟が医師で、学生時代に私の実家で下宿をしていたことがあります。小さい頃から可愛がってもらった憧れの存在でもあり、物心ついた時には自分も従兄弟のように医師になりたいと思うようになりました。

小学校5年の時に大好きな祖父を大腸がんで亡くしました。人生で初めて人の死に直面する経験で、これをきっかけに漠然としたイメージではあるものの「将来絶対に医者になってやる!」と決意を固め、それ以来、迷うこともなく医学部を目指して頑張りました。

16歳のときに自然気胸になり約1ヶ月入院したことがあります。病室にいると不安で辛くて悔しくて、ネガティブなことばかり考えがちでしたが、そんな中でも「自分が医師になったら、絶対に患者さんの痛みがわかる医師になれる!」と確信していました。また、クラスの友人たちが毎日のようにお見舞いに来てくれたことが何よりも励みとなり、心底うれしかったですし、闘病生活での人とのつながりがいかに大切なのかを強く実感しました。


日々修練を重ねた高いスキル

当センターの内視鏡治療は消化器内科医6名(常勤3名、非常勤3名)が担当しています。全員が消化器内視鏡学会専門医で、様々な症例を数多くこなし修練を重ねてきたことで、基本的なものから難易度の高いものまで幅広いスキルを修得してきました。

内視鏡治療は多岐にまたがりますが、特に力をいれているのが消化管(食道・胃・十二指腸・大腸)にできた腫瘍(良悪性)を内視鏡的に切除する治療です。最近では治療技術も安定し、根が浅ければサイズの大きながんも切除できるようになり、良い治療成績をだしています。


外科との強固な連携でリスク回避

内視鏡治療にはリスクがつきものです。例えば、消化管の壁は非常に薄く、腫瘍を削りとったりする際に非常に稀ではありますが、壁に穴が開いたりすることがあります。内視鏡的に穴を塞ぐ処置をしますが、万が一塞がらずに緊急事態となる時には、外科手術が必要になることもあり得るため、外科の先生のバックアップ体制がなければ安心して治療ができません。当院は私自身が20年前に研修先としてお世話になった病院でもあり、その頃から頼もしい外科医の存在は強く印象に残っています。 将来もう一度ここで働きたいと思った理由の一つでもあります。

当院は医局がワンフロアで、外科の先生をはじめ、他科の先生とも一緒にお話をする機会も多く、垣根が低い良い関係を築きやすい環境が整っています。まさにアットホームな雰囲気です。当院の外科の先生方はフットワークが軽くて対応も早く、腕もよく、信頼関係のある外科のフォローアップがあるというのは大きな強みと言えます。


時間をかけて丁寧に行うカウンセリング

2022年3月に「やさしい内視鏡外来」を開設いたしました。内視鏡検査は異物を身体の中に入れるため、患者さんにとってできれば避けたい検査の一つだと思います。この外来では、「この先生なら大丈夫かもしれない」という安心感を持ってもらえるよう、あえて1人30分ぐらい時間をかけて、内視鏡検査についてのカウンセリングを行なっています。ゆっくり時間をかけて患者さんからの質問などにも答えつつ、正しい検査の方法などを説明することで、患者さんの不安や恐怖心が少しでも和らげばと思っています。


「安楽」と「質」の両立

「内視鏡検査は怖い、痛い、つらい」という先入観だけで検査を受けずにいたり、たった一回の検査がトラウマとなり、がんの発見が遅れるというのはとても残念なことです。当たり前のことですが、私は一内視鏡医として、苦痛を少しでも減らす努力を惜しんではならないと思っていますし、その上で質の高い内視鏡検査・治療を提供する義務があります。つまり「安楽」と「質」の両立です。医療とは「優しさ」です。内視鏡も同じです。優しさをもって行えば、スコープの操作は必然的に愛護的なものとなり、苦痛は減るということは断言できます。さらに、胃カメラに関していえば、スコープ操作以外でも麻酔をしっかり効かせることから始まり、検査時の患者さんの姿勢を整えたり、スタッフが背中をさすり声掛けをおこなったりと、気遣うべきポイントは多岐にわたります。

患者さんは検査を受けるにあたり、「楽に終わって何も異常がないときいて安心したい」、「病気があるなら早くみつけてほしい」と誰しもそう願っているはずです。その気持ちに応えるべくこれからも精進していきます。


医師としての「自分らしさ」

当科では癌の終末期の患者さんを診ることも多く、患者さんが今まで生きてきた長い人生の中の最期の大切な時間に足を踏み入れるからこそ、常に真摯な態度で向き合わなければならないと日々感じています。

治療方針について悩むこと、たくさんあります。よりよい最期を迎えてもらうために何ができるだろうかと。そういう時、自分の家族が同じ状況だったらどうするかと置き換えて考えます。自分だったらこうしてあげることが最良だと思えたらそれを患者さんにはっきり伝えます。ですので、私はよく患者さんに「私だったら」という言葉を使います。それが医師としての「自分らしさ」であり、私の信条です。これからもその「自分らしさ」を忘れずに患者さんに接していきたいと思っています。


さいごに

当科は常勤医が3名と非常に少数部隊です。その割に症例数が多く、一人当たりの内視鏡検査・治療数は十分にあります。私自身、22年のキャリアで、それなりに内視鏡の技術や知識を習得してきましたので、これからは若い世代の指導をして当院を盛り上げていきたいというのが今の夢です。

どうかこのホームページにたどりついた若い先生で、消化器内視鏡に興味があってがんばりたいという方がおられたらぜひぜひ当院へ来てください!待ってます!!


相見 正史 あいみ まさひと
 / 内科・診療部部長

鳥取市出身。趣味は、車の中でいい曲を聴きながら唄うこと、道の駅をめぐっておいしい味噌を探すこと、youtube視聴、卓球と多彩。
好きな音楽は、長渕剛さんの「STAY DREAM」で、つらい時、負けそうな時、苦しい時に何度も繰り返し聞き、唄い、自らを鼓舞してきた。
最近はまっていることは、腸活と宅トレ。好きなyoutube番組はしげ旅、たっちゃんねる、朝倉未来、バズレシピ、卓吉、あいたの、おろちんゆー、大圃エンドサロンなど。

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