当院では地域包括ケアシステムの中でそれを利用する方の人生の物語を中心に据えつつ、どうすればそれが実現できるのかについて、多職種の専門的見地もあわせて検討し、また地域の医療・介護施設としっかり連携することにより、質の高い医療・ケアを提供することを目指しています。
ご自身やご家族が介護を必要とする状況になったときに、「施設や病院ではなく自分の家で暮らしたい」と願う方はとても多くいらっしゃいます。「住み慣れた地域で自分らしい生活を続けたい」という思いを実現するためには、地域において、介護・福祉サービス等が確保され、高齢者の生活を支えていく体制を整備する必要があります。
地域包括ケアシステムとは、要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい生活を最後まで続けることができるように、医療、介護、福祉サービスを含めた様々な生活支援サービスが、その方の価値観に基づいて提供できる一体的なシステムのことです。
出典:平成28年3月 地域包括ケア研究会報告書より
当院では地域包括ケアシステムの中でそれを利用する方の人生の物語を中心に据えつつ、どうすればそれが実現できるのかについて、多職種の専門的見地もあわせて検討し、また地域の医療・介護施設としっかり連携することにより、質の高い医療・ケアを提供することを目指しています。
入院前の生活、入院中、退院後の生活と療養場所が変わっていっても、その方の価値観や健康観が一貫して尊重されるために、多職種が1つのチームとなり、その方の価値観に基づいた支援の方向性を検討しています。
また、その過程において、福祉の専門職である医療ソーシャルワーカーなどが患者さんご自身やご家族が抱える課題や不安を伺い、その解決のための支援、地域の関係機関や社会資源とつなぐ役割を担っています。
急性期治療を終了し、直ぐに在宅や施設へ移行するには不安のある患者さま、在宅・施設療養中から緊急入院した患者さまに対して、在宅復帰に向けて診療、看護、リハビリを行なうことを目的とした病棟です。
当院は平成28年に鳥取県東部医療圏初めて48床を地域包括ケア病棟として運用を開始し、急性期病棟(他院を含め)からの受け入れ、在宅療養中の緊急入院などの受け入れを行い、急性期から在宅・生活復帰支援への架け橋となるべく、様々な取り組みをおこなっています。
当院は、ご自宅や施設で療養されている患者さんの病状の悪化など入院が必要となった場合に、24時間いつでも対応ができる体制を整えることで、在宅医療機関の支援の役割を担う「在宅療養後方支援病院」として機能しています。かかりつけ医を通して、鳥取市立病院を「緊急時に入院を希望する病院」として登録された方には、在宅療養で利用できるサービスや急変時の対応などをまとめた「絆ノート」をお渡ししています。
当院では、問題設定やゴールの設定が複雑で困難なケース、不確実性やジレンマが含まれるケース、医学的側面だけでなく心理的・社会的に複雑なケースに対して、多職種チームで検討し助言する「臨床倫理コンサルテーションチーム」を設置し、入院患者さんを中心にカンファレンスを行っています。しかし、このような状況は入院患者さんだけに起こるわけではありません。例えば受診拒否や様々な理由により病院を受診することが困難な方や、その方を支援するスタッフに対して、当院の専門職がお役に立てることがあるかもしれません。そこで当院は臨床倫理コンサルテーションチームと地域包括支援センターとで協力して、地域の複雑困難な事例に対する支援の方向性を検討するためのカンファレンスを行っています。
病院での治療は退院がゴールですが、患者さん・ご家族にとっては在宅療養のスタートです。当院では在宅療養される方が、住み慣れた地域で安心して生活ができ、生活の質を維持・向上できるように、ケアマネージャーや地域の医療機関等と連携して支援できるように訪問看護・訪問リハビリテーション・訪問歯科診療を行っています。
地域住民の皆様や、医療介護福祉関係者の皆様と、在宅医療や地域包括ケアについて一緒に考えるシンポジウムを定期的に行っています。