10月17日(木)、鳥取県健康会館で第262回鳥取県医師会公開健康講座が開催され、当院の森下嗣威診療局長が『治る腰痛 つきあう腰痛』と題して講演を行いました。
森下医師からは、慢性の痛みを持つ人の現状や痛みのメカニズムの解明などの話から始まり、具体的な腰痛についての話がありました。
最初に、慢性の痛みを持つ人の現状として、全体の約23%の人が慢性の痛みを感じていながらも、そのうち55%の人が治療を行っておらず、多くの方が痛みを我慢しながら生活されていることや、治療を行っていても多くの人が治療効果を実感していなかったり、治療への満足感がないことが紹介されました。また、痛みのメカニズムの解明については、痛みにもいろいろな種類(侵害受容性疼痛、神経傷害性疼痛、非器質的疼痛)があることや、それぞれの対処方法などについて説明されました。
次に、腰痛についての話では、急性腰痛症(侵害受容性疼痛)は痛みの元を治療することで治ること。それに対して慢性腰痛症(神経傷害性疼痛、非器質的疼痛)は、その原因が痛みの元に加え、神経経路の異常や心の問題など複雑であり、多面的に治療しなくてはならず、いろいろな職種の人がチームとして治療するのが理想であると話されました。
最後に、慢性腰痛症の治療について、患者様の希望される治療目標と医師が医学的見地から設定する治療目標とでは大きなずれが生じることが多いが、治療効果を得るためには、医師とよく話し合い共通の治療目標を持ったうえで治療を進めていくことが大切であると話されました。