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臨床倫理問題への対応方針

臨床倫理問題への対応方針

臨床倫理の基本原則は、善行原則、不危害原則、自律原則、公正原則ですが、臨床の現場で対立が起こることがあります。臨床倫理上の問題になりやすい以下の項目について当院での対応方針とその根拠を示します。

個人情報保護について

患者さんの配慮の必要な個人情報・個人識別符号等を含めた個人情報・データの管理・取り扱いについては、「個人情報保護法」「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス(厚生労働省)」等の法令・指針を遵守します。

個人情報保護方針

個人情報の保護に関するお知らせ

匿名加工情報の作成及び第三者提供について

インフォームド・コンセント(説明と同意)について

患者さんが治療の方針や方法を自ら選択・決定・拒否できるように、検査や治療内容、合併症・副作用等のリスク、予後の見通し等、その他必要事項について、当院の「説明・同意に関する指針」に従い、患者さんに十分な情報を提供し、同意を得た上で医療を提供します。

患者さんは、医療者から十分な説明と情報提供を受けた上で、治療・検査・その他の医療行為について自らの意思と価値観に基づいて選択・決定することや、拒否する権利があります。なお、拒否をしたとしても一切の不利益を被ることはありません。

セカンドオピニオンについて

患者さんには、納得した治療を受けるために、主治医以外の医師からの意見(セカンドオピニオン)を求める権利があり、他の医療機関の診察をご希望される場合には、必要な資料を提供します。その場合にも、一切の不利益を被ることはありません。

輸血を拒否される患者さんへの対応について

成年では「絶対的無輸血」、未成年では判断能力や親権者の意向にもよりますが、基本的には「相対的無輸血」です。ただし大量出血が予測される場合は、他院を勧める場合があります。

宗教上の理由により輸血を拒否される患者さんへ

(様式)免責証書

母体保護・人工妊娠中絶について

「母体保護法」等の法令や日本産婦人科学会による指針を遵守します。

人生の最終段階の医療・ケアについて

人生の最終段階の医療・ケアについては、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン(厚生労働省、2018)」等に従い、患者さんやご家族(代理人)と相談の上、患者さんの意思に基づいた医療を行います。また、可能な限り、疼痛やその他の不快な症状を緩和し、精神的、社会的援助も含めた総合的な医療・ケアを行います。

心肺蘇生法(CPR)の有効性について、人生の最終段階にあって救命困難または意識回復が見込めない場合、患者さんやご家族(代理人)に対して十分な説明をしたうえで、心肺蘇生法を行わないことに同意された場合は、その意思を尊重します。ただし、いかなる場合も積極的安楽死や自殺幇助は認めません。

DNAR(蘇生不要)、治療の中止・差し控え等、生命の尊厳に関する問題や医療行為の妥当性に関する問題については、多職種医療チームで検討し、必要なら臨床倫理コンサルテーションチームに諮りながら、患者さんやご家族(代理人)と十分な話し合いを行い、患者さんにとって最善だと思われる治療方針を決定します。

判断・意思決定能力が低下・欠如している(不能な)患者さんへの対応について

「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」(厚生労働省、2019)に則り、説明と同意に関しては「説明・同意に関する指針」の中に定め、これに従います。病院の対応や福祉、行政につなぐための対応は、「身寄りがない又は意思決定困難な人への支援に関する院内指針」に定め、これに従います。

判断能力がある患者さんの治療拒否について

治療拒否の理由を十分把握し、治療による利益と不利益を十分に説明した上で、患者さんの望まない治療を拒否できる権利を認めます。

必要に応じて倫理委員会等にて審議し、その決定に従います。但し、感染症等で治療拒否により第三者に危害が及ぶ可能性がある場合には、治療の拒否は制限される場合があります。

身体行動制限(身体拘束)について

当院の「事故防止のための身体拘束マニュアル」および「身体拘束予防ガイドライン(日本看護倫理学会)」、「身体拘束ゼロへの手引き 高齢者ケアにかかわるすべての人に(厚生労働省)」等に従います。

治療上やむを得ない場合の身体行動制限(身体拘束)は、医師の指示のもと、多職種医療チームで「身体拘束の三原則(切迫性・非代替性・一時性)」に基づいて適応・必要性を検討し、必要最低限・最短期間で慎重に行います。

虐待について

DV、あるいは児童、高齢者等への虐待が疑われた場合には、当院の「DV被害者対応マニュアル及び子ども虐待対応マニュアル」に従います。

臓器提供について

当院は心停止後の臓器提供のみに対応します。法令を遵守し、「臓器の移植に関する法律の運用に関する指針(ガイドライン)(厚生労働省)」及び当院の「臓器提供施設マニュアル」に従います。

臨床研究・治験・高難度新規医療技術導入・保険適用外治療について

ヘルシンキ宣言および「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針(厚生労働省、2021)」等の医療・医学研究の法令・各指針を遵守し、研究協力者(被験者)の尊厳と人権が守られているか、また、研究の科学的妥当性について、臨床研究・高難度新規医療技術導入・保険適用外治療は臨床研究倫理委員会、治験は治験審査委員会において審議し、その決定に従います。

その他倫理的問題について

医療行為の倫理的妥当性が問題になった場合は、当院の「臨床倫理問題発生時の対応フロー」に従い、臨床倫理コンサルテーションチーム、倫理委員会等で協議し、その決定に従います。

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