初期臨床研修医の脊椎麻酔実習の様子
鳥取市立病院の初期臨床研修は、診療に必要な幅広いプライマリ・ケアの基本的な診療能力(態度・技能・知識)の習得と、医師に求められる責任感・使命感を養い、医師としての基盤を身につけることを目的としています。
また、地域の患者さんが最適で最高の医療を得るためには、高い専門性の医療とともに、患者さん中心の人間性・社会性が豊かな医療が必要です。そのために、当院では地域の中核病院として、研修医に2年間の計画されたプログラムの中で地域に密着した良質な医療を学ぶことができるよう努めています。
当院は独自の臨床研修プログラムを有する基幹型臨床研修病院であり、医師法第16条の2第1項に定められた臨床研修を行います。
また他の基幹型臨床研修病院からの初期研修医を受け入れ、協力型臨床研修病院としての役割も有しています。
1年目の4~5月は麻酔科(救急研修)、総合診療科(内科研修)を経て各科の研修ローテーションに入ります。救急外来や当直の診療場面で役立つよう、臨床研修の初期の段階で診察や手技の基礎を研修するカリキュラムにしています。
また、Off-the jobで自分たちが経験した症例を振り返ることで、臨床推論能力を高める取り組みをしています。地域医療研修においては、自治体病院の強みを生かし、鳥取市の健康増進事業の一環として、地域住民向けの健康教育の研修を行います。
自由選択を長く設定したプログラムであるため、当院だけでなく鳥取大学医学部附属病院、岡山大学病院をはじめとする協力病院、協力施設で診療科を選択することができます。
幅広い研修を行うことで、自分の将来に役立てる研修を行うことができるプログラムになっています。
1年次 | 2年次 | |||
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オリエンテーション※ 救急入門 麻酔科4週 |
地域医療4週 | |||
内科24週 総合診療、血液、消化器、 腎・代謝・内分泌、 循環器 等 |
救 急 部 門 ※ |
選択科48週 | 救 急 部 門 ※ |
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外科4週 | ||||
小児科4週 | ||||
精神科4週 | ||||
産婦人科4週 | ||||
選択科8週 | ||||
※1年次4月最初にオリエンテーションが約10日間あります。
※一般外来研修:内科、小児科および地域医療研修中の並行研修により実施します。
※救急部門(12週以上)については、最初の麻酔科4週に加えて、2年間(麻酔科の4週を除く)を通して当直8週分(40回)以上もしくは、岡山大学救命救急科8週としています。
※必修科目ローテーション中の日当直を救急部門の並行研修とする場合、各ローテーションの期間が1~2週延長になることがあります。その場合、選択科目の週数は減少します。
※選択科目は協力病院でも研修可能です。
※2年間の臨床研修期間を通じて、基幹型臨床研修病院での研修期間は52週以上かつ協力施設での研修は12週以内となります。
鳥取市立病院では、東部の3病院(鳥取県立中央病院、鳥取赤十字病院、鳥取生協病院)と互いに「協力型臨床研修病院」として位置付けられ、4病院で連携して研修を行うことができます。そのため、4病院を合わせると1,500床規模の幅のある研修体制を提供することができます。
また岡山大学、鳥取大学、島根大学等の連携施設となっているので、初期臨床研修終了後は専攻医としての研修も可能です。(診療科によって連携施設が異なります。)
研修評価は、卒後臨床研修医用オンライン臨床教育評価システム(EPOC2)を採用しています。
また、各研修科毎に担当指導医を交えて3回の評価会を開催します。研修目標、研修達成度を確認し、「研修促進」目的に行います。
当院では、初期臨床研修医がより多くの機会を捉えて研修し、伸びて行ってもらうための取り組みとして、初期臨床研修医のための様々なレクチャーを行っています。
個別の指導として、総合診療科の医師を中心に週に1回朝の約45分間、“症例から学ぶ研修医レクチャー”を膝を突き合わせるような距離で行っています。
初期臨床研修医の基本的な臨床知識の習得を目的に、週1回(30分)、必修研修項目に沿ったモーニングレクチャーを行っています。
研修テーマ
初期臨床研修で求められる“経験が必要な症例”を含めた「一次救急に多く見られる症例」を中心としたテーマ
その他、シミュレータを使用した講習会、各科内で行われるレクチャー、突発的に開催される検討会や、全職員を対象とした感染防止や褥瘡防止など医療安全に関する研修会、組織の中で働く社会人として必要なモラルを再認識するコンプライアンス研修など、学ぶ機会が多くあります。
診療部部長(総合診療科)
教育研修センター長
懸樋 英一
当院では急性期のみならず、回復期も含めたプライマリ・ケア研修に興味のある研修医を求めています。救急告示病院の指定を受けており、初期対応から治療までの過程を経験することができます。また、地域包括ケア病棟では生活支援の取り組みも経験できます。
各科ローテート時には、指導医と研修目標のすり合わせを行い、形成評価を設け、目標を達成できるよう支援をしていきます。
当院では、社会の変化に沿った対応のできる人財育成を目標にしています。院内外の教育資源を活用し、卒後3年目以降の独り立ちを支援していきたいと考えています。
診療部部長(総合診療科)
兼 教育研修センター長
懸樋 英一