一般部門では尿や便の検査をしています。
尿中に含まれる糖やタンパク質、ケトン体、潜血、白血球を検査することにより腎・泌尿器系の状態や糖尿病などを調べることが出来ます。
尿を遠心して得られる沈渣物を顕微鏡で検査することにより、尿中に赤血球や白血球、悪性細胞などが出ていないかを調べます。これにより腎・尿路系の状態を知ることが出来ます。
妊娠反応や薬物反応、尿中肺炎球菌抗原なども検査しています。
便潜血検査は、大腸がんなどによる消化管からの出血の検出に有用です。食事などの影響がない免疫学的方法を用いています。
様々な臓器に寄生した寄生虫の虫卵は便とともに排出されます。この便に排出された虫卵を顕微鏡で見つけるために虫卵検査が行われます。
ノロウイルスやロタウイルスは簡易キットを用いて迅速に検査を行っており、早期診断において重要です。
血液検査では、白血球、赤血球、血小板の数を調べる血球数算定検査や、血球の形態などを分類する末梢血液像検査、骨髄像検査、出血に関わる凝固因子の量や活性を調べる凝固線溶検査を行っています。
血液細胞の数を数えることを血球数算定検査といいます。血液細胞は、主に赤血球系、白血球系、血小板系の3系統に分けられます。それぞれの細胞は次のような働きがあります。
血液をスライドガラスに塗抹して染色し、顕微鏡で異常細胞の有無を観察します。
何らかの原因で出血が起こった場合、私たちの体は血を止めようという働きをします。そのとき肝臓から作られる凝固因子(血液を固める作用のある物質)の働きにより止血されるのですが、この働きを見るのが凝固系検査といいます。
血が固まり止血されると、今度はその塊(血栓)が不要となってきます。この血栓を溶かす働きを見る検査が線溶系検査になります。
生化学検査部門では患者様から採血された血液を遠心分離し、その上清である血清※を用いて多くの項目の測定を行っています。一部の項目についてご紹介したいと思います。
※血清とは・・・
抗凝固剤を含まない容器に採血し、血液を凝固させたのち、遠心分離を行うと、固形物(血球成分と凝固成分)が沈降し、液性成分が上層に残ります。この上澄みを血清といい、生化学検査で最も多く用いられます。
このように生化学検査には体の様々な臓器の状態を見るのに有用な検査項目が多数あります。緊急検査項目の多くが生化学検査になりますので、迅速に結果報告を行い、患者様の治療が早く行えるように努めています。
血糖やHbA1cは糖尿病の診断や治療のために必要な検査です。特にHbA1cは過去1~2ヶ月の平均血糖値を反映するため糖尿病の血糖コントロールの指標として利用されています。当院ではそれぞれの専用装置を用いて測定しておりますので、迅速な結果報告が可能となっています。
免疫血清検査は、患者様から採血された血液を遠心分離して得られた「血清」を用いて以下のような検査を行っています。
体の内部で分泌されるホルモンと呼ばれる物質の測定をしています。甲状腺ホルモン(FT4、FT3)や甲状腺刺激ホルモン(TSH)などを測定することで甲状腺機能亢進や機能低下を確認することができます。また当院ではホルモンの検査だけでなく、甲状腺の自己抗体である抗サイログロブリン抗体(Anti-Tg)や抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(Anti-TPO)、TSH受容体に対する抗体であるTSH受容体抗体(TRAb)も院内で検査を実施しております。これらの検査は甲状腺疾患であるバセドウ病や橋本病などの診断や甲状腺癌の術後の経過観察などに非常に有用と言われております。院内で実施することで早期の診断と治療が可能となっています。
腫瘍マーカーとは癌の進行とともに増加する生体内の物質です。そのため癌をみつけるために健診などでも検査が行われています。ただし、癌でのみ上昇するわけではなく他の疾患でも上昇したり、妊娠や性周期によって変動がある項目もあります。
B型肝炎ウイルスの検査やB型肝炎ウイルス・C型肝炎ウイルスにより産生された抗体の検査を行っています。
輸血部門では、輸血をするときに患者様に合う血液の選択をするための検査を行っています。もし患者様に合わない血液が輸血されてしまうと赤血球が壊れてしまいどんどん貧血が進み最悪の場合、死に至ることもあります。このことを防ぐため、以下のような検査を行い安心・安全な輸血ができるように検査を行っております。
輸血において最も重要であるABO血液型とRhD血液型の検査を行っています。
ABO血液型検査では赤血球の表面にある抗原の検査(オモテ検査)と血漿中の抗体の検査(ウラ検査)の結果からA型、B型、O型、AB型の判定を行います。
またRhD血液型検査では赤血球の表面にあるRhD抗原の有無を確認します。
血液型には先に述べたABO血液型、RhD血液型の他にも数多くの血液型が存在し、その血液型に対する抗体(不規則抗体)は、妊娠や輸血によって作られることがあります。抗体の種類によっては輸血の際に影響を及ぼすことがあります。事前に不規則抗体の検査を行うことでその抗体と反応する抗原が含まれていない血液製剤を取り寄せることができ、安全な輸血を実施することが可能となります。
交差適合試験とは輸血を行う前に血液製剤が患者様に合うかどうかを確かめる検査です。異常な反応が起こらず「適合」となった血液製剤を輸血することで溶血性輸血副作用*を防ぐことができる重要な検査になります。
※溶血性輸血副作用とは・・・
輸血された赤血球の膜が破壊されて起こる副作用です。溶血して赤血球の内容物が放出され、補体活性の上昇などにより連鎖的に溶血が進み、死に至ることもあります。
細菌検査では、患者さんから採取される様々な材料(血液・尿・便・痰・膿・髄液など)から、感染症の原因となる病原微生物を検出し、その微生物に対して有効な抗菌薬を調べ、感染症の診断・治療に役立つ情報を提供しています。
また、感染防止対策チーム(ICT)の一員として、薬剤耐性菌の検出状況や薬剤感受性率などのさまざまなデータを提供し、院内でアウトブレイクが発生しないように監視しています。
抗菌薬適正使用支援チーム(AST)にも参加し、医師、薬剤師、看護師など他職種とともに活動しています。
病理部門では、生検針などの器具により採取された微小な組織の一部や手術により摘出された臓器を薄く切り、スライドグラスに貼り付け染色したものを顕微鏡で観察して結果報告します。細胞診部門では、注射針など細い針を使い吸引して採取された細胞・喀痰・尿などから癌細胞を見つけます。
また手術中には迅速病理診断・迅速細胞診があり、病気の進行度など的確な手術が行われるよう即時に検査し伝えています。厚生労働省より病理部門・細胞診部門とも施設認定を受けており、病理専門医・細胞検査士・技術を習得したスタッフで迅速かつ正確な検査を心がけています。
生理機能検査とは検査技師が患者様を直接検査し、心臓や神経・筋に生じる電気信号を調べたり、超音波により体内の様子を画像化し臓器の形態を調べたりする検査です。
不整脈や狭心症、心筋梗塞がないかどうかを調べます。必要に応じて、階段の昇降などによる負荷心電図検査や24時間の心電図を記録するホルター心電図検査も行っています。
脳や末梢神経が活動するときに出るわずかな電気信号を記録し神経の機能を調べます。脳波検査はてんかんや痙攣、意識消失などがある場合、神経伝導検査は手足のしびれや筋力低下などがある場合に検査します。また、安全に手術を行うために脊椎脊髄センターや脳神経外科の手術に立ち会い術中神経モニタリングも行っています。
ぜんそく(喘息)や慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患をはじめとする呼吸器の病気が疑われる場合や手術前に呼吸機能に問題がないかどうかを調べる場合に行う検査です。
人の耳には聞こえない音を利用し、腹部(肝臓、胆のう、膵臓などの臓器)や乳腺、甲状腺、血管(頸動脈、下肢動静脈)、心臓を画像表示して臓器の大きさや形状、内部の様子、血液の流れなどを調べます。
四肢の血圧を同時に測定することで血管の硬さや詰まり具合を調べ、動脈硬化の進行度を知ることができます。
超音波骨密度検査では超音波をかかとの骨に当て骨密度を計測することで骨粗しょう症の評価を行います。X線を使う骨密度検査に比べて被曝の心配がありません。