2019年4月現在、当院には7名の臨床工学技士が在籍しています。臨床工学技士は医師の指示の下に、血液浄化装置、人工呼吸器等の生命維持管理装置の操作及び保守点検を行う医療機器のスペシャリストです。
当院の臨床工学技士は、医療機器の保守点検や運用管理を行い、人工透析をはじめとする血液浄化療法や、各科領域での検査・治療介助などに従事し、チーム医療の一員として医療の質向上と安全性の確保に努めています。
人工透析室のベッド数は3床で、入院中の維持透析患者様や透析導入患者様の血液透析を行っています。現在、外来維持透析は行っていません。
臨床工学技士は透析装置のセットアップや回路のプライミングなどの機械側の準備だけでなく、看護師と一緒に透析開始から終了までの介助のほか、透析装置のメンテナンスや透析液の水質管理等を行っています。他にも、腹水濾過濃縮再静注法(CART)や顆粒球吸着除去療法(GCAP)などの特殊血液浄化や、急性血液浄化に携わっています。
人工透析
透析装置修理
臨床工学技士は心臓カテーテル検査や冠動脈インターベンション(PCI)の物品出し、ポリグラフ、血管内超音波装置(IVUS)、大動脈内バルーンパンピング(IABP)、経皮的心肺補助装置(PCPS)などの機器操作をします。不整脈領域では、カテーテルアブレーション関連機器の操作やペースメーカー植込み術に立合い、医師の指示のもとでペースメーカーの動作設定なども行っています。
その他、ペースメーカー植込み患者様に対して外来及び病棟でペースメーカーチェックに携わっています。
カテーテルアブレーション関連機器の操作
カテーテルアブレーション関連機器の操作
手術室は電気メス、レーザー装置、生体情報モニタ、麻酔器、顕微鏡など多種多様な機器があります。臨床工学技士はこれらの機器のトラブル対応や点検・保守管理を行っています。また、脊椎脊髄センターと脳神経外科の一部の手術で使用するナビゲーションシステムのセットアップや操作を行い、手術を安全かつ円滑に進行するよう支援しています。
ナビゲーションシステム操作
麻酔器点検
内視鏡関連業務では、臨床工学技士が検査前の内視鏡装置やスコープのセッティング、検査後のスコープ洗浄と消毒などの感染管理、検査及び治療介助を行っています。さらに、2017年より導入された小腸用カプセル内視鏡のセットアップや検査及び治療などの円滑な運用を目指し業務に取り組んでいます。
他にも放射線科関連業務ではラジオ波焼灼術で使用するラジオ波発生装置の操作を行っています。
内視鏡スコープ点検
ラジオ波発生装置操作
臨床工学技士は輸液ポンプ、シリンジポンプ、生体情報モニタなどの使用頻度の高いME機器の中央管理を行っています。他にも人工呼吸器や麻酔器などの生命維持管理装置の保守・定期点検や、使用時のトラブル対応に携わり、医療機器が何時でも安心して使用できるよう安全性確保と有効性維持に貢献しています。
輸液ポンプの精度点検
人工呼吸器点検
臨床工学技士は医療現場で働く医療機器のスペシャリストとして、導入を予定している医療機器の運用状況や必要性・緊急性など様々な項目で評価し、導入内容の見直し等を行っています。
より安全に医療機器を使用してもらうため、医療機器を使用する医師や看護師などの医療スタッフに対し、臨床工学技士が講師となって院内研修会を定期的に開催しています。
除細動器の院内研修会
除細動器の院内研修会