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大腸がん

大腸がん

概要

大腸は消化管のうちおしりから近い全長約1.5mの臓器で、結腸と直腸に区分されます。結腸はさらに盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸に区分されます。

がんは1981年以降、日本人の主要死因別死亡率1位です。日本人の2人に1人が一生のうちに1度は罹患し、男性の4人に1人、女性の6人に1人ががんで命を落とすと言われています。その中でも大腸がんは罹患数1位、死亡数2位のがんです。罹患数が多いため死亡数も多いですが、消化器がんの中では最も5年全生存率(5年後に生きている確率)が高く、適切に治療すれば5年全生存率は70%以上見込めます。当院での手術患者の5年全生存率は76.5%でした。 

原因・症状

生活習慣に関わる大腸がんリスクとして飲酒や糖尿病、肥満、運動不足が挙げられます。また食文化の欧米化(高脂肪食、赤肉・加工肉摂取の増加、野菜接種の減少)が関与していると考えられています。
家族性の大腸がんもあります。特に家族性大腸腺腫症やリンチ症候群の家系では、近親者に大腸がんの発生が多くみられます。

無症状の場合もありますが、血便、貧血、腹部症状(腹痛、下痢、便秘、便の細まり)などの症状で発見されることが多いです。放置すると腸が詰まったり穿孔して激しい腹痛・嘔吐などのつらい自覚症状が出現する可能性があります。

検査

大腸がんは早く治療すれば十分治る可能性のある病気ですが、進行すると治療が困難になる場合もあります。検診異常や症状がある場合には速やかに病院を受診しましょう。早期発見が早期治療、生活の質維持につながります。精密検査としては大腸カメラやCT検査、MRI検査などが行われます。

治療

切除が原則です。早期のものであれば大腸カメラでとれる場合もあります。ある程度進行してくると手術が必要になります。従来は開腹手術が一般的でしたが、最近ではより低侵襲な腹腔鏡手術が標準治療となっています。内視鏡手術支援ロボットを用いたロボット支援手術も行われるようになってきました。切除しても再発リスクが高い症例では術後補助化学療法が推奨される場合があります。また切除できない場合にも化学療法を行うことで予後延長が見込めます。

腹腔鏡手術

腹腔鏡手術とはお腹の中に炭酸ガスを入れて膨らませ、高性能カメラ(腹腔鏡)を挿入し、モニターを見ながら、5-12mmの小さな穴を数か所に開け、お腹に鉗子という器械を使ってする手術のことです。病変を数cmの切開創から体の外に取り出します。従来の開腹手術で20-25cmほど切開した場合(開腹)と比較して、創が小さく、痛みが少なく、術後の回復が早く、患者さん体に優しい低侵襲な手術です。また術野を拡大してみることができ、より精密な手術操作が期待できます。

化学療法

以前は5FU系の抗がん剤が治療の中心でしたが、1990年以降、様々な新規抗がん剤が開発されました。また2000年代からは分子標的薬が登場し、切除不能な場合でも2年半を超える予後が期待できるようになりました。最近では免疫チェックポイント阻害剤も一部の患者さんに対して使用できるようになり、長期生存例の報告が散見されます。

予後

当院の過去10年間の大腸がん手術症例(2013年-2022年)の長期予後について示します。
5年全生存率はStage Ⅰ 89.9%、II 85.8%、III 71.2%、IV 32.8%でした。
5年疾患特異的生存率Stage Ⅰ 99.1%、II 94.4%%、III 80.9%、IV 36.9%でした。
StageⅠの全生存率は全国平均と比べてやや低いですが、高齢者や併存疾患のある方の手術を積極的に行っているためと考えています。

外科 紹介

鳥取市立病院の設立理念は、①信頼される病院 ②心温まる病院 ③楽しく働ける病院です。鳥取市立病院・外科も同じ理念で診療にあたっています。

1.信頼される外科

当科は岡山大学・消化器外科学教室の関連施設で、消化器外科、乳腺外科を中心に、最新の治療・手術を積極的に取り入れ、エビデンス(科学的根拠)に基づいた標準的医療を提供します。

2.心温まる外科

当科はつねにインフォームドコンセント(説明と同意)に基づいた医療を行います。ご紹介の診療所、病院と情報交換を密にして退院後も患者さんの療養・生活を見守ります。悪性疾患では手術だけではなく、抗がん剤治療、緩和ケアまで患者さんに寄り添い切れ目のない医療を提供します。

3.楽しく働ける外科

当科のスタッフは専門分野(胃、大腸、肝胆膵、乳腺)に細分化されていますが、お互いの専門性をリスペクトしながら、連携、協働し、一人一人の患者さんの診療を行います。チームの和を尊重し楽しく働くことが、質が高く、安心・安全なチーム医療を提供することにつながります。

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